さて今回はかっこいいイントロの作り方をご紹介したいと思います。
イントロって一番アドリブする場所でもあるので、作り方は知っていないと毎回同じイントロを弾かなくちゃいけないのでつまらないし、クールじゃないから是非やっていきましょう。
しかもイントロのアドリブは、曲のソロにも応用できるので頑張ってください。
イントロの作り方
イントロは有名なジャズの曲を使ってターンアラウンド練習で紹介したターンアラウンド(turn around)を使って弾くことが多いです。
私は特にイントロを決めてない時は、1ー9bー2−5や、1−6−2−5などを弾いて始めます。(当然、違うこともするときもあります)
ですので、ターンアラウンド のバリエーションはある程度あったほうがいいですね。
また、ジャムセッション等で
「この曲知ってる?」(イントロがなく、すぐにコーラスに入る曲など)
って聞かれて、知ってるよと答えると
「じゃあイントロ弾いて」
みたいなノリで、急にイントロ弾いたりすることも良くあります。
メロディーでイントロを弾くときも、コードで弾くときも基本的にターンアラウンドのコード進行が頭の中にあります
逆になんですが、決まったイントロっていうのもあるので、そちらを知っていたら、かなり役に立ちます。
典型的なもので、マイナースウィングやHoneysuckle rose、Blues en mineur、Bellevilleなどはジャンゴが弾いているイントロが多いです。(まだまだありますが、キリがないのでこのくらいで)
イントロに使えるターンアラウンド の例
- 2−5−1
- 1−3bー2−5
- 1−6−2−5
- 2−5−1−5
- 3−6−2−5
こういったターンアラウンド を使うことが多いですが、これを代理コードを混ぜで弾いたりもして、いつも似たような音にはならないように工夫しましょう。
例)キーC
通常3−6−2−5であれば、
Em-Am7-Dm-G7もしくはEm-A7-Dm-G7
これを代理コードを使うと、
Em-Am-Dm-Db7#9や、Em7-Eb7#9-Dm7-Db7#9などに変えて弾いたりもします。
ちなみにこの動きは、All of meのイントロでよく使っていました。こちらのAll of meのレッスン・タブ譜付きのイントロでも使っているので、こちらもチェックして見てください。
前書きが長くなりましたが、早速イントロを作ってみましょう。
イントロのアドリブ
major キーとminorキーのイントロ例
1 メジャーイントロ
では、最初に引いたのは単音がC-D-E-F-E-D-Cで、コードのC6です。
次が1ー6ー2ー5でC69 – Am7 – Dm7 – G7
2 マイナーイントロ
これもターンアラウンド で、1−1−2−5で弾いています。(理論的に言えば、1−3b−2−5です)
Gm6 – Gm6/Bb – Am6 – D7
Gm6 – Gm6/Bb – Am6 – D7b9
最後が
Dm – Dm/F – BbM7 – BbM7/D
Em7b5 – Em7b5/Bb – A7 – C#dim
Dm – Dm/C# – Dm/C – Dm/B
(2回目はDm – Bb7/A7)
という感じです。
また、これに慣れて来たら自分でもクールなイントロを作って見てください。
ちなみに最後のイントロは、私がバイ ミア ビストゥ ドゥ シェーンを弾くときによく使うコード進行です。
上記のDmイントロのアドリブがなぜこうなるのかを、解説します。
オリジナルのコード進行は
Dm – Dm – Dm – Dm
A7 – A7 – Dm – A7
紹介したコード進行は
Dm – Dm/F – BbM7 – BbM7/D
Em7b5 – Em7b5/Bb – A7 – C#dim
Dm – Dm/C# – Dm/C – Dm/B
(2回目はDm – Bb7/A7)
このコード進行が、なぜこうなるのかを解説していきます。
アドリブに重要なコードトーン
アドリブをするときに重要なものは感覚と理論だと思っています。
理論を知っていれば、間違いないアドリブ進行ができます。
が、です。理論に合ってなくても音(響き)が良ければいいので感覚も重要になってきます。
多くのジプシーのプレイヤーは理論のことなんて全然知りません。
音がいいからこれを弾いてるとか、こう習ったからこれを弾いているというのが、ほとんどです。
ジャンゴラインハルトも同様で、こう弾いたらかっこいいから、っていう感覚論で弾いてました。
私が過去に一緒に弾いたジプシーのミュージシャンは、何を質問しても「知らない」って答えてましたよ(笑
ただ、私は彼らのように幼少から音楽教育を受けてないので、理論を学び、今では理論に基づいた感覚論でアドリブをしています。
ちょっと前置きが長くなりましたが、オリジナルコードと私が作ったコードを見て見ましょう。
アドリブの解説
- Dm → Dm 変化なし
- Dm → Dm/F Dmのベース音を3度のFに変更
- Dm → Bb△7 何で?
- Dm → Bb△7/D Bb△7のベース音を3度のDに変更
上記の1、2は特に説明はいらないと思います。
3はDmをBb△7にしました。
これが上記で述べたコード構成音を知る重要性なんです。
Dmの構成音はD F A(レ ファ ラ)です。
Bb△7の構成音はBb D F A(シフラット レ ファ ラ)ですよね。
音がほとんど同じなんです。
だから使いました。進行の響きもいいし。
これは時々代理コードとして使うので、マイナーコードからみた#5度(言い方によれば6度の音)のコードを△7で(状況にもよりますが)弾けるって覚えてください
注)覚えやすいので#5といってるだけで、定義上6度とも言える時があります。
詳しくはコチラを参考に。
4も説明はいらないですよね?ルート音を3度のDにしただけなんで。
- 5 A7 → Em7b5 Em7b5/Bb 何で?
- 6 A7 → A7 C#dim 代理コード
- 7 Dm → Dm Dm/C# クリシェ
- 8 A7 → Dm/C Dm/B クリシェ
5はA7がEm7b5になってますが、これは結構理論的で、m7b5のコードはドミナントコード(7thコード)に行くleading chord(次のコードに向かうときに使われるコード)として使われるので、こうなっています。注)毎回ではないですが多くの場合です
それと、上記のようにA7の代理コードであるA#dimのコード構成音と、Em7b5の構成音はほとんど同じなんです。
A#dim・・・A# C# E G
Em7b5・・・E G A# D
6は説明いらないと思いますが、ディミニッシュコードはドミナントコードの代理コードなのでdimコードを使っています。
もっと言えば、上記3の説明と同じで、
A7の構成音は A C# E G
C#dimの構成音は C# E G Bb
これも音がほとんど同じなんです。
7、8はクリシェと言われる奏法ですが、私はこの呼び方が好きではないんですね。
クリシェとはフランス語で使い古されたとか、オリジナリティが無いみたいな意味なんですけど、このクリシェ奏法は今はそんなに使われてないので、こんな名前じゃなくてもいいかなって気がします。
概要をいうと、ベース音を半音づつ下げて弾いていく奏法です。
ですので、上記のDmもベース音がD C# C Bと移動します。
ジャンゴがよく使ってたんですね、コレ。
最後に、2回目の最後はA7をBb7 A7にしました。
これは理論的というよりもドミナントコード(セブンスコード )はこういう風に1フレット前後の音をリーディングコード的に使ってるって感じです。
あまり深く考えないでオッケーですが、理論的に説明するとこの様になります。
Bb7はE7の代理コードで、言い換えるとE7b5コードとほぼ同じ
Bb7・・・Bb D G# F
E7b5・・・E G# Bb D
最後に
いかがでしたか?
結構マニアックに深く説明したと思いますが、できるだけわかりやすく説明できたとも思います。
このようにアドリブをするときは、代理コードやコードの構成音を知っていたらやり易くなるので色々覚えていきましょう。
ちなみに、ジプシージャズには専用のピックや弦があるって知っていました?もしお持ちじゃなければ、「ジプシージャズ必須アイテム」を参考にどうぞ